長い夜
一日が始まるのは朝ではなく夜だ。深夜零時から一日は始まりそして朝を迎える。日が昇るまでは暗いのだ。
我々人間は皆等しく泣き叫びながら生まれてくる。安寧な胎内にいた赤ん坊はある時突然、この世の苦楽に晒されるのだ。これが泣かずにいられるだろうか。
この世に生まれること自体が悲惨であるという考えを持つ人も少なくないが、それは長い夜の最中にいるからなんだろうかと考えることがある。
日が昇らねば朝は来ないが、一日の始まりと人生の決定的な違いはこの日を昇らせる役目が私や貴方にあるというところだ。これは責任では無く、人がどのように生きられるのかという問題だ。この世に生きるということは一方的に与えられた夜から光を見出すことなんだろう。
私や貴方の人生が穏やかに明けますように。