脳内模写

言葉で描ける考え事の断面。

2010-12-01から1ヶ月間の記事一覧

水の奴隷 完結編 急

朝日が昇ったのでサフル達は小山から顔を覗かせた。どうやら追っ手はまだ来ていないらしい。白い荒野は死んだように静かでごうごうと風の音が聞こえるだけであった。あたりは一面真っ白で、まるで死後の世界のようだ。もしかすると一行はもう死んでいるのか…

水の奴隷 完結編 破

遂に伝令が現れた。傷だらけの彼によると、もう守備隊の殆どは敵の手に落ちてしまい、役場まで陥落するのも時間の問題との事であった。役場に残っていた者たちは覚悟を決して入り口の破壊を考えた。だがこれは敵の侵攻妨害と引き換えに、守備隊を見捨てる事…

水の奴隷 後編

役場の復興から半年後、サフル、ユヌラ、タムリの三名は数十名の白い砂を作る者の統率係として文字を覚える勉強をしていた。彼らは文字の種類、それを綴る順番、石版に記す作法などを学んでいた。三人にとって新しい知識は刺激的でこの勉強を苦痛と思う者は…

水の奴隷 完結編 序

サフルがタムリの家に着いて目にしたのは彼の遺体だった。遺体はいたるところが切り取られており無残な姿を晒していた。彼の家族も同様であった。サフルは直ぐ様自宅へと急ぐ。自分の家族の安否が危ない。一刻も早く帰らねば。道中で火の手の上がる建物や沢…

水の奴隷 中編

ある国で奴隷として暮らしていた男、サフル。彼の国では水が大変貴重な資源であり通貨であった。人々は様々な階級に分かれてそれぞれの仕事をこなし、平和な暮らしを送っていた。しかし、戦争が全てを変えてしまった。今まで水の管理を行っていた役人の殆ど…

とりとめのない夢日記

今日の夢はなかなか楽しかった。 僕は夢の中で、大量の荷物を背負いながら高校時代に履いていた赤いコンバースのスニーカーを履いており、最寄りの駅からスケボーに乗るかの如く、その靴で滑って街を颯爽と切り抜けていった。不思議と漕がなくても勝手に進ん…

水の奴隷 前編

これはある国の奴隷のサフルという男の話だ。僕達の常識と彼らの常識は異なるから、話の実態はよく分からないけれども、とりあえずは聞いてみてくれ。 サフルは母国で奴隷として働かされていた。彼の仕事は水運びである。かの国では水が大変貴重な資源で、市…