脳内模写

言葉で描ける考え事の断面。

政治経済軍事

 朱雀さんとの対話で生まれた直観を述べる。まず朱雀さんの発言を引用し、その後自説を述べる。

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ぐっちょ、


この話題は、〈社会システム論と、知性の進化論〉を掛け合わせたところの話題よね。


古代ギリシアは、市民の範囲をきわめて狭く設定し、

奴隷制を基礎とする民主主義として」、エリート政治をおこなった。


古代ローマもそれを踏襲した、

ただし、古代ローマはえらく版図は広く、

社会インフラの完備と、交易、農政を見据えた、

植民計画でえらく繁栄したゆえ、

奴隷でさえもそれなりに平和でゆたかな暮らしが送れた。


欧米は、中世~近代も、現在に至るまで階級を温存し、

ハイクラス、ミドルクラスのための行政をおこない、

したがって少数のインテリを徹底的に賢く育て、

他方、ワーキングクラスを冷遇してきた。


日本も、江戸時代までは、欧米同様、官僚制にもとづく階級社会だったものの、

しかし太平洋戦争の敗戦後は、国民総ミドルクラス化がおこなわれ、

官僚もべつに賢くもなく、大学の先生の知性もそこそこで、

と同時に、庶民も物知りでそこそこインテリっぽい、

そんな世界史に類を見ない、めずらしい社会が形成された。


でも、その国民総ミドルクラス時代も、いまや終わりつつあって、

同時に、日本の産業をリードした製造業も世界各国へ流出し、

また他国に抜かれもして、いまや階級再編成時代を迎えている。



さて、ここからが本題。

ほんとは、日本は、スーパーインテリを育てるべきだとおもうけれど、

でも、政府はいまだに国民の大多数はバカで良い、っていう政策ゆえ、

かなり憂国的だよね。

ほとんどの地方がゆたかになれず、たいへんなことになっているのも、

中央政府による一括統治と関係が多いにあって。

なぜって、たとえば義務教育にしても、

地方自治に丸投げすれば、それぞれ独自性も出て、

おもしろいのに、そういうことはゼッタイにやらせない。


そもそも日本の都市の歴史を振り返ると、

平安京の時代からえんえん京都が中心で、

江戸時代に、京都と江戸の二極時代になって、

明治以降、東京の時代になる。

その他、地方都市で発展したのは、たいてい港町。

明治以降は、工業都市が加わるとはいえ。


たしかに、日本は、いまや、国民総ミドルクラス時代のネガに向かって突進していて、

したがって地方を活性化するさまざまな試みは、

それこそ、日本史が有史以来やってきた政策とは、

まったく違った考えを導入するっていうことよね。

むろんそういうことを考えなければ、

日本に未来はないものね。

おまけ


あと、産業構造の話もあって。

戦後日本はソニー、松下、トヨタ、日産、ホンダなど製造業で(!)のしあがっていったものの、1970年代には、すでに金融の時代が始って、

モノ作りと投機が併走する時代がはじまる。


しかもモノの価格は競合のなかでおのずと安くなるもので、

それが証拠に、家電メイカーで

冷蔵庫だの、洗濯機だの、テレビだのだけ作ってきた会社は滅びつつあり、

(それらのものは容易にマネすることができるから)、

対照的に、勝ち抜いている会社は、ひそかに原子炉とか、兵器を作っている。


しかし、だからといって、

原子炉作りと、兵器作りで町起こし、ってわけにもいかない。


けっきょく、地方は、観光、文化、料理などで喰おうとする。

もちろんそれで喰えるならそれでいいとおもうけれど、


そういう流れとは別に、たとえば、

すごい知性が集まっていて、しかも開かれている大学があったりすると、

世界中から人は集まって来るものだけれどね。


別に、大学に限らない、

そこへ行かなきゃ得ることのできないものがあれば、

人はおのずとそこへ集まる。


では、その、ONE&ONLYを、いかにして作り出し、演出するか?

それがウデの見せ所よね。


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日本でも地方分権が皆無では無かったと思います。大和王権の豪族が古墳を建てていた頃は蝦夷などの異民族が居ましたし。希ですが、フランスのブリュターニュ地方に残るケルトの痕跡のように、東日本にはアイヌ由来と思しき地名や言葉が残っています。また、戦国時代の乱世は中央政府が瓦解し、諸国が乱立しました。

僕は現代ヨーロッパのEUがやっているのは戦国時代からの脱皮段階であると考えています。中国も日本もヨーロッパも、イスラムは分かりませんが、いずれの地域も、そして世界も、神話の時代、中央集権的で神聖な天子による神の国、諸侯乱立の戦国時代、そして今度は軍事力を背景にした中央集権の成立を経ていると考えます。世界に於いては、様々な諸国が大戦を起こし、アメリカが軍事力を背景に世界を平定した様に相似性が見られます。歴史は分権と集権を繰り返しながら螺旋のように発展していると思います。

そして、港町が栄えると言うのはフローとストックの関係ですね。自然の物事は適材適所に配置されてないので、供給地か消費地まで資源を運ばねばなりません。その輸送コストが人の流れと集合を作り、街道や街が発展するんですよね。そして資源や輸送路を確保すべく政策や外交や軍事が用いられる。ここにドラマが生まれるわけですね。

そう言えば堺は町人が自治していたそうですね。ドイツの自由都市が連想されます。